バイポーラトランジスタの勉強 その2 基礎の勉強のつづき

こんにちは。そらです。
前回、バイポーラトランジスタの構造や各接地のときの電流増幅率について計算をしました。


今回は、各接地のときの電圧や電流の増幅についての特性を考えていきたいと思います。入出力側の抵抗について考えていきます。




バイポーラトランジスタの勉強

検討する回路

ベース接地、コレクタ接地、エミッタ接地のときの検討する回路を以下に示します。

各回路における電流増幅率は前回の記事を参照してください。また、ここからの議論ではnpn型バイポーラトランジスタについて考えていきます。

電圧利得、電力利得について勉強する

電流増幅率だけでは電圧がどのようになっているのかがわかりません。そのため、各回路の特性を考える上では電流の増幅と同時に電圧の増幅がどのようになっているのか、電力の利得はどのようになっているのかということを検討していく必要が考えられます。
ベース接地のときの電圧利得と電力利得はそれぞれ以下の式で表せます。

前回の記事と同様に、コレクタ接地、エミッタ接地回路のときについても、入力電圧と出力電圧についてそれぞれ検討して式変形をすることで導出できるため説明は省略します。

また、電圧利得、電力利得の式より入出力それぞれの抵抗値と電流の増幅率によって特性についての検討が行えそうなので、ここからは、各接地のときの入出力の抵抗について考えていきたいと思います。

各回路の特性について検討する

ベース接地回路

ベース接地回路において、トランジスタの入力側/出力側の抵抗がどのようになっているのかを検討して、回路全体の動作原理をトランジスタの構造から検討していきたいと思います。
コレクタ接合はnpの順の逆方向バイアスされているので、空乏層ができるためコレクタ抵抗は非常に大きく、エミッタ接合はpnの順で順方向バイアスされているため、抵抗が小さいことが読み取れます。
入力の抵抗が小さく、出力の抵抗が大きいが、電流増幅率よりコレクタ側、エミッタ側で流れる電流はほぼ同等であるということより、オームの法則より電圧がエミッタ側よりもコレクタ側のほうが大きくなることがわかります。したがって、ベース接地回路では電圧の増幅ができることがわかります。

エミッタ接地回路

エミッタ接地回路もベース接地回路と同様に、トランジスタの入出力の抵抗から検討を始めたいと思います。ベース接地回路のときと同様にして検討をすると入力側は抵抗が小さくなり、出力側は抵抗が大きくなることがわかります。入力側の抵抗が小さく、出力側の抵抗が大きいことと電流増幅率が大きいことも合わせて考えると、電流と電圧の両方が大きく増幅されることがわかります。

コレクタ接地回路について検討する

エミッタ接地回路もベース接地回路と同様に、トランジスタの入出力の抵抗から検討を始めたいと思います。入力側はコレクタ接合側となるため抵抗が大きく、出力側はエミッタ接合となるため、抵抗が小さくなることがわかります。
入力の抵抗が大きく、出力が小さいことと、電流の増幅率が大きいことを合わせて考えると、電流は大きく増幅され、電圧はコレクタ側の電圧よりもそこまで小さくならないことがわかります。

おわりに

トランジスタの構造から、入力/出力側の抵抗について検討をして、各接地回路のときの特性を考えてみました。次回は、現実に使われている回路での増幅率の決定の仕方や周波数特性、出力データの位相変化について勉強ができればいいなぁと思っています。

ここからは雑談になりますが、マイクロマウスの赤外線LEDを光らせるときにオペアンプを使用した定電流回路について過去に勉強したとき理解ができませんでした。そもそも理由がそもそもバイポーラトランジスタの動作原理を理解できていなかったからでは?と思う所存です。バイポーラトランジスタの勉強をした後にオペアンプの勉強をすることで理解を深めることができそうです。

参考文献