RCローパスフィルタとRLハイパスフィルタの勉強 その2

2020年6月30日

こんにちは。そらです。
前回、カットオフ周波数の導出を行いました。今回は実験をしてみたいと思います。実験に使用するのはADALM2000(高機能アクティブラーニングモジュール)とADALP2000(アナログ・パーツ・キット)です。
式の導出については前回の記事を参照していただければと思います。




実験の準備をする

部品探しをする

ADALP2000のキットの中に入っている部品を使って回路を組んでいきます。組む回路はLow Pass and High Pass Filtersを参考にします。

1KΩと1uFのコンデンサを探してブレッドボードにさしていきます。本来はキットのブレッドボードを使うべきなのかもしれませんが、部品を外すのが大変そうなので他のブレッドボードを使用していきます。抵抗はカラーコードを読んで、電解コンデンサは横に書いてありました。

回路を組む

Low Pass and High Pass Filtersのfigure5を参考にしましょう。唯一の注意点として、電解コンデンサは極性があるのできをつけましょう。リードの長い方がプラス、短い方がマイナスになります。リードが切られていたとしても、マイナスの方だけ帯のようにパッケージの色が違うところがあるので、それで判断可能です。
ADALM2000の電源を抜いた状態で回路を組んでいきます。ブレッドボードで回路を組むときは電源を抜いておきましょう。ミスをしてしたときにショートすることを防ぐためです。
回路のチェックができたら電源をいれましょう。

SCOPYを起動する

ここからはPCを使用していきます。ADAML2000のソフトウェアのSCOPYを起動します。環境構築の仕方は以下の記事を参考にしていただければ幸いです。

RC回路のカットオフ周波数を計算する

実験を始める前に、抵抗1KΩ、コンデンサ1uFのときのカットオフ周波数の計算をします。実験をするにあたって、周波数の設定をどのようにするのかということを決める必要があるためです。
前回の記事で導出した式を使用して計算すると、159.154・・・、すなわち約160Hzであることがわかります。

RC回路の実験をしてみる

Low Pass and High Pass Filtersの文章の通りやっていきます。先程、カットオフ周波数の計算をしましたが文章の中に書いてありました。SCOPYにはボード線図を確認することのできる機能が標準であります。便利すぎて怖いです・・・。SWEEPやDISPLAYの設定を文章の通りに変えていきます。変更したらスタートしてみましょう。


このような形でゆっくりと進んでいくと思います。サンプル数が1000個もあると時間がかかりますね。出力と両端電圧を確認しながらみていくことができます。普通に実験をするときはファンクションジェネレータの電圧を変更してオシロスコープで電圧を計測して・・・をする必要がありますがADAML2000を使用するとPC上でのシミュレーションと同様に実験ができてしまいました。
動作結果は次のようになりました。

実験結果をみると、Figure6と同様の結果になっているため正しく回路が組めていたことがわかりました。
また、160Hz付近を拡大してみると利得が-3dbになっていることがわかりました。ジェネレータの機能を使用してsin波を出力したときの両端電圧をオシロスコープの機能を使用してみた時は次のようになりました。

50Hzのとき

10KHzのとき

低周波数は通して高周波数は遮断するローパスフィルタになっていることがわかりました。

RL回路のカットオフ周波数を計算する

RC回路と同様に、抵抗1KΩ、インダクタ10mHのときのカットオフ周波数の計算をしておきます。
前回の記事で導出した式を使用して計算すると、15915・・・すなわち、約16KHzがカットオフ周波数であることがわかりました。

RL回路の実験をしてみる

実験をする前に回路の組み替えをする必要があります。接続を切って、電源を抜いてから回路を組み替えました。

先程、同様にボード線図をみていきます。ハイパスフィルタでカットオフ周波数が約16kHzであることがわかっているので1KHzから100KHzで設定をしてみます。これも、Low Pass and High Pass Filtersに書いてある通りになります。

実験風景

結果

RC回路のときと同様にカットオフ周波数である16KHz付近のときの利得をみてみます。利得が-3dbに限りなく近づいていることがわかります。

RC回路のとき同様、sin波を生成したときの両端電圧をいくつかみていきます。

1KHzのとき

1MHzのとき

高周波数領域では信号がほぼすべて通過していることがわかります。

さいごに

実験をしてみました。結果を見るとわかることですが、ローパスフィルタの時は位相が遅れていますがハイパスフィルタのときは位相が進んでいることが読み取れます。コンデンサは位相が遅れ、インダクタ(コイル)は位相が進むという物理で学習した内容通りの結果になっていますね。
実際にフィルタを使用するときはセンサの出力結果にかけることが多いと思います。そのときに、フィルタをかますと位相がずれるという点に注意をして使用する必要がありそうです。ノイズを減らすためといってローパスフィルタやハイパスフィルタを適当に使うと痛い目にあいそうですね。

参考文献

Activity: Low Pass and High Pass Filters